相続人の生活を守る為の「小規模宅地等の特例」
先日も触れさせていただきました「小規模宅地等の特例」は、そもそもどのような目的で設けられているのでしょうか?
小規模宅地等とは
被相続人と同居をしていたり、事業を共に営んでいた場合に、相続による相続税の発生に伴って、居住や事業を継続できなくなってしまうことを避ける為であり、相続人の生活を守る為の特例であるということが出来ます。
同居していたご主人や、お父様が亡くなられたときに、今まで住んでいた家に継続して住み続けるために、急に巨額な納税が必要になったら、ご自宅を売却しなければならず、困りますよね。
相続税の高額な減額があるこの「小規模宅地等」の要件は、大変複雑ですが、飽くまで「相続人の生活を守る」という目的を抑えると、概要がみえてきます。
今日は多くの方に関係がすると思われる「居住用宅地」について、どのような場合に適用されるのか、具体的に見ていきましょう。
どのくらい減額があるのか?
自宅の土地に本特例が適用できれば、相続税の計算上、240㎡(平成27年から330㎡)までの部分について評価を80%減額してもらうことが出来ます。
たとえば、
土地が240㎡(平成27年から330㎡)以内である場合、
土地の評価が3,000万円の場合3,000万円×0.2=600万円(2,400万円の減額)
土地の評価が1億円の場合1億円×0.2=2,000万円(8,000万円の減額)
と大幅に減額されます。
この特例を受けられるかどうかで、納税の対象にならない可能性が大きくなってきます。
但し、相続税の申告をしなければこの特例は受けられません。
小規模宅地等の特例の要件
要件の一番のポイントは、「誰が相続したのか」ということです。
① 被相続人の配偶者が相続した場合⇒無条件で本特例を使えます。
② 被相続人の同居の親族(配偶者以外)が相続した場合⇒相続税の申告期限まで居住し所有を継続する必要があります。
相続税の申告期限は相続開始日の翌日から10ヶ月以内ですので、その間は売却出来ないということになります。
③ 被相続人の配偶者や同居親族以外の親族が相続した場合(同居していない子や親族)⇒被相続人に配偶者も同居親族もいない場合に、相続開始日の直前3年以内にマイホームに住んだことがない別居親族がこの土地を相続し、相続税の申告期限まで所有を継続すれば、本特例が使えます。
賃貸住まいや会社の寮住まいをしている子が親の自宅を相続したような場合です。
既にマイホームを持ってそこに住んでいる子では特例が使えません。
このように、小規模宅地等の特例を受けるには、「誰が相続したのか」が重要になってきます。相続が発生してからでは、間に合わない事も考えられますので、事前の準備が必要となります。要件を満たしているかどうかを一度確認してみてはいかがでしょうか?
また、税制改正により、土地面積の拡大のほか、以下のポイントも主な変更点となっています。
1.二世帯住宅でも小規模宅地の適用可能
2.老人ホーム入居でも小規模宅地の適用可能
(過去の記事をご参照ください「老人ホームへの入居が相続税を高くする?!」)
改正ポイントの注意点については、また後日触れさせていただきたいと思います。
当社では相続のポイントとなる「小規模宅地等の特例」の判定も行っております。
是非お気軽にご相談ください。
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