「何はともあれ現状把握」が相続対策のファーストステップ

いよいよ来年に差し迫った相続税の増税を控えて、新聞紙面やテレビなどでも、「相続対策」のセミナーや特集をよく目にするようになりました。

納税対象者が大幅に増加することもあり、世間の関心が高まっていることがうかがえます。

ところで、相続対策には一般的に以下の3つの対策が必要とされています。

①    遺産分割対策

②    納税資金対策

③    相続税額軽減対策

とはいっても具体的にこれらの対策をしろと言われても、何から手を付けたらよいかわからないですよね。

具体的な対策を考える前に必要なのが、まず財産の棚卸をし、財産の評価額や相続税、家族に関する懸念事項等の、現状把握です。

例えば、不動産や非上場株式を、相続する長男と同等の財産額を二男に相続させたいという場合、あらかじめその時における財産の評価額を把握していないと遺言書作成等の具体的な対策(①遺産分割対策にあたります)を講じることは困難です。

また、主に自宅の不動産や非上場株式等のように、スムーズな換金が困難な財産を引き継ぐ相続人は、現金での納税が困難になることがあります。相続財産そのものでの納付(物納)や売却も困難といった事態に備えて、生前に概算の相続税額を把握して対策(②納税資金対策にあたります)を講じることで、現金が不足する事態を防ぐことが出来ます。

また相続税の納税額を少なくしたい(③相続税額軽減対策)場合も同様に、現状で相続税がどのくらい課税されるかを把握していないと、対策を講じることは出来ません。その場合ポイントとなるのは、相続税の増税がおこなわれる平成27年1月1日以後、相続税がどのくらい課税されるか概算を今から把握しておくことだと思います。

まずは財産の棚卸、そこから導き出される概算の相続税額、ならびに問題点を把握したうえで、具体的な相続対策を体系的に考えていきましょう。

財産が広範囲にわたる場合は、効率的な対策をおこなうためにも早い段階で一度専門家に相談することをお勧めします。

特に、土地等の不動産の現状を把握するためには、対象不動産を1軒1軒、現地確認を行い、権利関係、都市計画法、建築基準法、道路・インフラ等の調査を行うことが重要となります。また、面積や土地の形を確定するために、利用区分*1毎に測量を行い、作図をする必要もあります。これらの調査・作業を行うことによって、正確に土地評価を把握することができ、相続税額を把握することが可能となります。

土地評価資料は、遺産分割対策、納税対策、相続税軽減対策を行う上の基礎資料としてもご活用いただけますので、事前の準備としてご検討してみては如何でしょうか。

当社では相続のポイントとなる「土地評価」に強みをもつ相続コンサルタントです。
是非お気軽にご相談ください。

 

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①    遺産分割対策

相続人が複数いる場合、相続人間で争いになる可能性があります。円滑な遺産分割のための対策が必要です。

②    納税資金対策

相続税は現金での一括納付が原則です。財産の大部分が不動産等の換金性の低い財産の場合、納税資金の準備が必要です。

③    相続税額軽減対策

相続税は累進課税です。相続財産が多くなるほど税率は高くなります。また、平成27年から相続税は増税になりますので、相続税額の軽減対策が必要です。

*1利用区分

1団の土地でも、自宅、アパート、駐車場等で利用されている場合、その利用状況に応じて宅地を分け、1画地(評価の単位)を決めます。