こんにちは、埼玉県川口市で活動する買主に寄り添ったバイヤーズエージェント川口不動産情報館(リプロ)のブログ担当です。 今回から住宅ローン減税をテーマに解説いたします。

戸建てリノベINFOでも何度も取り上げているテーマなのですが、制度がややこしくて上手く伝えるのが難しい問題になります。中古住宅の住宅ローン減税がややこしいのは、建物の構造・工法、築年数によって判断が変わるからです。住宅ローン減税はこれから家を買う人にとって欠かせない重要な補助制度です。まさかの事態に追い込まれないためにも、業者任せではなく、正しい知識を身につけておきたいところです。

念願のマイホーム購入!でも住宅ローン減税が使えないって?

チュースケ「太郎さ~ん。相談なんですけど。少し前に中古住宅を買って引っ越した友人が確定申告に行ったら、なんか証明書がないと住宅ローン減税使えないって言われたみたいで、困ってるんです。何とかなりませんか?」

調査太郎「チュースケ君。多分その物件は築20年以上の戸建てか、築25年以上のマンションだろう?」

チュースケ「え、なんでわかるんですか。確かに築30年のマンションって言ってました。」

調査太郎「あぁ、マンションか…。残念ながら「手遅れ」だな。」

チュースケ「ちょっと待ってくださいよ!まだ物件の詳細とか言ってないじゃないですか。」

調査太郎「中古住宅の場合、住宅ローン減税を利用するにはいくつか条件があるんだ。その友人は買って引っ越したというから、所有権移転後ということになると思う。築25年を超える中古マンションの場合は、所有権移転までに手続きをやっておかないといけないんだ。確定申告で指摘されたくらいだから、必要な手続きがなされなかった、ってとこだろう。今からだとどうしようもないね。」

チュースケ「そんなぁ。住宅ローン減税って家を買ったら漏れなく使えるもんじゃないですか?」

調査太郎「国の制度だから無条件で使えるなんてことはないよ。今回は築年数が問題になったけど、住宅ローン減税には収入や広さ、居住の要件なんかがある。」

住宅ローン減税の要件

自ら居住すること

住宅ローン減税を受けられるのは「居住の用に供した場合」とされています。また、住宅の引渡し又は工事の完了から6ヶ月以内に、減税を受けようとする者が自ら居住する必要があり、居住の実態は住民票により確認することとなります。このため、別荘などのセカンドハウスや賃貸用の住宅は対象となりません。

床面積が50m2以上であること

対象となる住宅の床面積が50m2以上であることが要件となっています。この床面積の測定方法は不動産登記上の床面積と同じであり、戸建住宅の場合は壁心、共同住宅の場合は内法により測定することとなっています。

耐震性能を有していること(中古住宅の場合)

新築住宅は現在の建築基準法に基づき設計され、建築確認を受けていますが、中古住宅の場合、建築年代によっては現行の耐震基準を満たしていない場合があります。このため、中古住宅を購入する場合に住宅ローン減税を受けるためには、耐震性能を有していることを別途確認する必要があり、次のいずれかに適合することが要件となります。

ア:築年数が一定年数以下であること

  • 耐火建築物以外の場合(木造など):20年以内に建築された住宅であること
  • 耐火建築物の場合:25年以内に建築された住宅であること

※鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造など

イ:以下のいずれかにより現行の耐震基準に適合していることが確認された住宅であること

  1. 耐震基準適合証明書
    国土交通大臣が定める耐震基準に適合していることについて、建築士等が証明したもの
  2. 既存住宅性能評価書(耐震等級1以上)
    既存住宅性能評価において、耐震等級1以上が確認されたもの
  3. 既存住宅売買瑕疵保険に加入
    住宅瑕疵担保責任保険法人による中古住宅の検査と保証がセットになった保険(既存住宅売買瑕疵保険)に加入していること。同保険への加入には現行の耐震基準に適合していることが要件とされている。【平成25年度税制改正により追加】

その他の主な要件

  • 借入金の償還期間が10年以上であること
  • 合計所得金額が3000万円以下であること(3000万円を超える年は住宅ローン控除が利用できない)
  • 増改築等の場合、工事費が100万円以上であること

日本の住宅市場は長らく新築偏重だったから、漏れなく使えるって感覚が浸透しているのかもね。

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住宅ローン減税が使えないのは不動産仲介会社が悪いのか?

チュースケ「じゃあ築年数が古い中古住宅の場合は住宅ローン減税が使えないんですか?」

調査太郎「そうじゃない。築年数が古くても住宅ローン減税が使えるようになる方法はある。ただ、新築や築浅の物件と違って、取引の過程でやらないといけないことがあるんだ。」

チュースケ「なんで友人の取引に携わった不動産会社はちゃんと案内しないんでしょうか。これって問題なんじゃないですか?」

調査太郎「う~ん。。。取引の経緯がわからないから何とも言えないが、恐らくその不動産会社を訴えることは難しいと思うよ。そもそも住宅ローン減税は税制の話だから、宅建業者の業務範囲ではなくて、税理士の業務範囲になる。宅建業者は取引において住宅ローン減税の制度を手続きしなければならない義務はないよ。」

チュースケ「じゃあ友人が動かなかったからだめだと言うことですか?」

調査太郎「残念ながらそうなるね。多くの補助制度は、受益者、つまりこの場合はそのご友人が主体となって手続きをする仕組みになっている。申請しないともらえない補助金なんて山ほどあるだろう?」

チュースケ「そんなこと言ったって、一般の消費者にはわからないことが多いじゃないですか。」

調査太郎「そうだね。だから、本シリーズの最初に仲介会社選びが大切だと言ったんだ。今回は住宅ローン減税の話だったけど、不動産仲介会社が消費者に対して負っている責任は、消費者がイメージするよりも遥かに軽い。宅建業法の範囲でしか消費者と向き合わない業者が取引するのと、宅建業法の範囲を超えて積極的に協力してくれる業者の違いは大きいよ。」

チュースケ「最初の回で住宅ローン減税の質問を投げるって太郎さんが言ってたのにも関係があるんですね。」

調査太郎「これは企業姿勢の問題で、悪徳業者でなくても業務範囲を明確にしている会社なんかだと、「それは私の役割ではありません」って回答するよ。
問題なのは中古住宅の場合は取引の過程でやらなければならないことがあるにもかかわらず、税理士が介在する余地がないってところ。普通の不動産取引では税理士の出番はないからね。それに不動産売買契約後って忙しいだろ?」

チュースケ「確かにローン本申込とか、役所に書類取りに行ったりとか、結構バタバタしますね。」

調査太郎「中古住宅の場合はリフォームも絡むから余計に忙しくなる。判断しなければならないことが非常に多い。だからこそ、取引のスケジュールを握ってる仲介会社が住宅ローン減税についてもコントロールしてくれないと、実現が難しいんだ。」

チュースケ「でも、そんなこと言ってたら、中古住宅だと住宅ローン減税が使えないってことになるじゃないですか。」

必要な情報を必要なタイミングに確認することが大切です

調査太郎「冒頭にも述べたように中古住宅の住宅ローン減税については、構造・工法・築年数で判断がわかれるからややこしい問題になる。だからこれから数回に分けて、区分して説明していくので、該当するものだけ読んでもらえればいいと思う。」

チュースケ「全部読まなくてもいいんですね。」

調査太郎「マンションに絞っている人は戸建ての情報は不要だろ?制度がややこしいから、関係のない情報を入れることで混乱を招く恐れもある。だから、ある程度物件が絞られてから関係のある記事だけ参考にしてもらえれば良いと思う。」

チュースケ「これから家を探し始める人は読まない方がいいんですか?」

調査太郎「住宅ローン減税には手続きがあって、非常にややこしい。仲介会社選びが重要だということが腑に落ちていれば読まなくていいけど、いまひとつわからないという人は、ざっと目を通してもらえれば、少なくとも素人が手を出す問題じゃないことだけは伝わると思う。」

チュースケ「せっかく記事を書いたんだから読んでもらいたいです。」

調査太郎「それはこちらの都合だろう(笑)。不動産の取引、特に中古住宅の場合は、本当に判断しなければならないことが多い。だから、全てを理解するよりも、不要な情報をいかに削るかの方が重要だと思うよ。」

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